たねなしプルーン

徒然なるままに

カルチャー日記:ディストラクション・ベイビーズ movie

2018.09.28 fri

うーむ、そもそも映画の役割なんぞ分かんないし。意味不明だったで片付けてしまうのもどこかお門違いな気がしてしまう。

かくいう僕は鑑賞後そんな気持ちには捉われなかった。確かにこの映画は説明的な作品ではないし、ただ淡々と流れていくだけと言われればそうかもしれないけれど、僕にはたくさんの人が闘って殴りあって蹴りつけあって完成したものだと感じ取れた。その戦はまだ終わってないんだろうなとも思う。

主演は柳楽優弥さん、好きなんだよねぇ。「誰も知らない」での演技本当に素晴らしかった、それに当時の柳楽さん少し弟に似てんだよね。それは脇に置いて。

 

一本通してほとんど喋らない柳楽優弥、口を開いたと思ったら「楽しければそれでええけん」、次の瞬間には暴力、血、暴力、血。

映画冒頭、耳に残る音楽から始まる。まるでこれから起こる不吉な何かを予感してるような音楽。(this is 向井秀徳)それに応えるようにして始まる暴力!暴力!ただ暴力!そして暴力の産物これまた暴力、副産物これも左に同じく。

果たしてそれは若さゆえの狂気なのか衝動なのか強さに対する憧憬なのか説明はなく、画面上で繰り広げられるその惨禍を見つめていると、ふと思い出すのは泰良(柳楽優弥)が放った「楽しければそれでええけん」のセリフ。ああそういうことかぁとため息と手をつないで心の中で2人して天を仰ぐ。

 

目、顔、表情から嫌でも見て取れるような狂気。殴られて倒されて血まみれになっても立ち上がろうとする。一頻り殴った後に「まだいけんだろ?」震えたねぇ。

単純作業の如く習慣的な暴力、破壊。狂気とは一線を画しているような純粋な暴力。連続的に作業的に行われるそれにいつの間にか僕も影響され清々しさまでも感じさせた。人間って不思議だな。

 

何かをきっかけに覚醒する僕らの心の中にあるもの、それが狂気なのかなんなのか。その覚醒は自己を昇華させるものなのか、破滅に導くものなのか。それぞれが抱く正しさは誰かを殺してしまうものになるのかもしれない。